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サイテックジャーナル
2000年8月23日号


画面クリック → 110番通報


 昨日(22日)の日経新聞朝刊にこんな記事が載っていました。


 画面クリック → 110番通報 『iモード』でそそのかす 警察に相次ぎ誤報 メールまいた容疑の学生逮捕

 「iモード」利用者に,5月下旬から6月上旬にかけ,画面の中のボタンをクリックすると自動的に110番につながるホームページを紹介するメールが広がり,全国の警察に誤った通報が相次いだ(後略)」
 


 記事によると,宮城県の専門学校生が,自分のホームページに爆弾のボタンを設置し,iモード対応携帯電話でアクセスした閲覧者がボタンをクリックすると,自動的に110番に電話がつながるようにしたそうです。このホームページの存在がメールを介して広く伝わり,閲覧者がボタンをクリックして県警本部通信司令室の業務を妨害したとのことです。この専門学校生は,偽計業務妨害の疑いで逮捕されました。

 全国の警察で約1万4千件の被害があったそうです。110番システムに被害を及ぼすなんて大きな事件ですね。しかしこの犯罪を実行するのはとてもとても簡単なのです。

 サイテックシステムのホームページもそうですが,ほとんどのホームページには「リンク」が張ってありますよね。「リンク」をクリックするとそのホームページが開くようになっています。iモード用ホームページでは,電話番号にもリンクを張ることができます。クリックすると,携帯電話が自動的にその電話番号に電話をかけるのです。

 自分のホームページに爆弾のイラストを貼り付け,リンク先を「110」にして,掲示板やメールを使ってこのホームページの宣伝をする。たったこれだけで今回の犯罪は実行できてしまいます。簡単ですね。簡単なだけに,この手の犯罪を防ぐのは難しそうです。


 この事件で私が最も驚いたのは,このホームページを紹介する情報の伝達スピードです。最初はこのホームページを作った容疑者自身が,ホームページを紹介するために,アドレスを書いたメールを発信したようです。このメールを受信した人が別の人にこのメールを転送して,転送されたメールを受信した人がまた別の人に転送して,そのメールを受信した人がまた別の人に……。こんな調子で転送が続いて一気に広まったようです。

 容疑者がホームページを開設したのが4月下旬。警視庁がサーバー管理を行うプロバイダにアクセス遮断要請を行ったのが6月3日。この間に約9万件のアクセスがあったそうです。たった1ヶ月あまりで9万件です。すごいことですね(ちなみにサイテックシステムのホームページは1年3ヶ月で4800件たらず。う〜ん)。

 メールシステムの情報伝達能力と,ちょっと人の興味を引く工夫が合わされば,とても大きな力になりそうです。大きなお金を使わなくても,口コミ的な情報伝達や宣伝効果をねらえそうです。うまく使えばいろんなビジネスが生まれそうですね。


 みなさんも気をつけましょう。とりあえず,怪しいホームページの怪しいボタンは押さない方がいいかも知れません。

 

Written by 大坪 和久


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