6月10日付の日経新聞にこんな記事が載っていました。
「有珠メロン,復活へ懸命」
北海道・有珠山の噴火災害で大きな被害を受けた伊達市有珠地区のメロン農家が再起へ動き出した。(中略)復活にかける思いを広く伝えようと,共同でインターネットにホームページを開き,各農家の実情や生育状況の紹介も始めた。(以下略)
記事によると,メロンの苗はこまめな温度調節や水やりなどが必要で,噴火により約2週間の避難生活を送った結果,大半の農家で5〜8割ほどの苗が枯れたそうです。有珠山周辺は7月から8月がメロンなどの収穫の最盛期ですが,7月初めからのピークには間に合わなくても,新たに作付けした分を7月下旬に出荷することを目指して頑張っている,という農家の方のコメントが載っていました。
ホームページはそんな農家の方が作ったもので,「少しでも我々の思いを伝えたい」という気持ちで作られたそうです。ホームページをのぞいてみると,新聞記事にも書いてあるとおり,確かに情報が豊富というわけではありません。ホームページ上からクリックして簡単にメロンを買うようなシステムもありません。しかし農家の方々の思いがしっかり書き込まれています。育てているメロンの成長の様子を写真入りで紹介している「生育日記」もあります。写真を見ていると,農家の方がいかに愛情を込めてメロンを作っているかということが伝わってくるようです。
「掲示板」もあって,被害にあった方を応援するメッセージもいくつか書き込まれています。
ホームページ,特に掲示板というと,最近は悪い話をきくことがよくあります。けん銃やドラッグの取引に使われたり,西鉄バスジャックや札幌の祭り会場で起きた爆発事件に関する書込みがあったり...。そのたびに,ネットの危険性や,匿名性の是非等が大きく取り上げられています。
しかし,そのようなものばかりではありません。個人が自分の思いを多くの人に伝える方法として,ホームページの公開ほど費用がかからず効果的でかつ誰でもできるものは他にはないでしょう。しかも,公開したホームページを見た人から,簡単に直接コメントをもらうこともできる。問題は使い方なわけで,うまく利用すると,個人であっても(場合によっては個人だからこそ),すばらしいコミュニケーションを実現することができる道具なのです。
天災の被害に遭った人は本当にお気の毒だと思います。インターネットが少しでも復活の役に立てばいいですね。農家の方の思いが伝わるということでも,あるいは農家の方を応援する気持ちが伝わるということでも。1日でも早く復活されることを心からお祈りいたします
●関連ホームページ
有珠メロン街道
http://www1.ocn.ne.jp/~kiyokatu/
Written by 大坪 和久