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サイテックジャーナル
1999年11月1日号


ネット通販 3つのポイント


 最近新聞などで「ネット通販」という言葉をよく見かけます。ネット通販とは,インターネットを利用して商品を購入することです。電子商取引という言葉もよく使われます。これらのサービス,みなさん利用したことがありますか?。新聞ではドラッグやけん銃など違法な売買に関する話題が大きく取り上げられていますが,もちろんこのようなものばかりではありません。正しくうまく利用すれば,非常に便利なものです。しかし利用するにはいくつか注意することがあります。ネット通販を利用する上で注目される3つのポイントについて説明します

1.商品の選び方

 ネット通販では,一部の例外を除いて実際に商品を見て選ぶことはできません。その多くはホームページ上の写真画像や説明文を見て商品を選ぶことになります。この得られた情報だけで購入を決めなければなりません。ある程度のリスクが発生します。サイズが違う,色が違う等,届いた商品が思っていたものと違うというようなことがあります。

 このようなリスクについては普通の通販でも同じことです。しかし,ネット通販には普通の通販とはちょっと違った特徴があります。普通の通販は雑誌広告や通販専門の雑誌,カタログなどで商品を選びます。これら雑誌などではページ数が限られているので1つの商品の情報はどうしても限られてしまいます。しかし,ネット通販ではそのような制限はありません。1つの商品について何枚でも写真を載せたり,長い説明文を載せたりすることができます。部分的な拡大図を載せているショップや,マウスの操作で商品を自在に回転させ,好みの方向から商品を確認することもできるショップもあります。音楽の一部を試聴できるCDショップもあります。見たことはないのですが,例えばペットを扱う店がペットのビデオ画像を載せることも可能です。

 またカタログなどと違い簡単に編集,更新ができます。新しい商品が入荷すればすぐにそれをお客様に知らせることができます。品切れの情報も同じです。在庫数がほぼリアルタイムで表示されるホームページもあります。売り切れそうだからすぐに買おう,というようなことができるのです。このように,ネット通販では,商品の選択について普通の通販よりも多くの情報を得ることができる可能性があります。

 一方,ネット通販特有のデメリットもあります。ネット上に店を出すのは簡単です。一般的な通販業者を始めようとすると店の宣伝が大変です。雑誌に載せるかカタログを発行するか,いずれにしても多くのお金と時間が必要でしょう。しかし,ネット通販ではホームページを作ればOK。あとは多くの人がそのホームページを見に来てくれるようにすれば良いだけです。もちろんより利用してもらいやすいホームページの作り方や,いかに多くの人にホームページを見に来てもらえるかと言うことに関しては,いろんなノウハウがありますし,工夫しなければだれも店に来てくれません。しかし,一般的な通販よりは簡単に始めることができるのです。また匿名や偽名で始めることも簡単です。従っていろんな人が店を始めています。中にはあまり信用できないような感じがする店もあるようです。ホームページ上で商品を意図的に実際よりよいように見せてしまったり,返品ができなかったりする場合もあるようです。このあたりは,一般的な通販よりも慎重な商品選びが必要な点です(ショップ選びの方が大切かも知れませんが)。

 いずれにしても,実際の商品を見ることはできないので,どうしてもリスクは残ってしまうのですが,商品によってはあまりリスクがないものもあります。例えば,書籍,CD,ビデオ等です。また,家電やパソコンなど,実物を実際に存在する店で確認できる商品はリスクが少ないでしょう。商品は近くの店で確認し,商品が決まったら値段が最も安いネット通販ショップを探して購入する。これはよい方法です。パソコンなどはスペック(性能,仕様)や使っている部品が分かれば,特に現物を見ることなく安心して購入することができます。さらに,過去に買ったことがあり商品の内容が分かっているものもリスクが少ないでしょう。食品や薬,文房具などが該当します。

 このあたりを考えて商品を選びましょう。

2.代金支払方法

 代金支払方法には,現金振込による先払い,後払い,クレジットカードによる支払い,代金引換,等があります。ここで注意しなければならないのは,先払いとクレジットカードによる支払いです。

 先払いの場合,商品が届く前に支払うわけですから,料金を支払ったにもかかわらず商品が届かないという問題が発生する可能性があります。購入先が有名な企業なら大丈夫だと思いますが,あまり知られていない店から購入する場合は注意が必要です(やはりショップ選びが重要)。

 特に,あまり知られていない店で,しかも店の住所や電話番号等が書かれていないショップは要注意です。店の住所,電話番号や,経営者の氏名,ネット上だけでなく実際に店を出しているのならばその店の写真などが公開されていると,比較的安心です。少しでも不安があれば,直接電話してみるのもいいでしょう。良心的なショップならば,先払いしてもらうお客様にはできるだけ安心してもらおうとするはずです。以前私が利用したショップの店長は,少しでも安心してもらおうと,振込用紙と一緒に自分の運転免許証のコピーを送ってきました。

 いずれにしても,よく分からない相手に先払いは禁物です。けん銃や架空名義の銀行口座を買うために,見知らぬ中高生に先払いで料金を支払ってはいけません(後払いでもだめですが)。

 また,クレジットカードの利用も注意が必要です。注意点は2つ。1つはインターネットのセキュリティーに関するものです。ホームページに入力した情報は,一般的にセキュリティーは確保されません。あなたが入力したクレジットカードの情報を第三者が盗み見る可能性があります。サインがなくてもクレジットカード番号や名前,カード有効期限などの情報だけでカードが利用できる場合があるので注意が必要です。このセキュリティーに関しては暗号技術などを利用しているショップもあります。セキュリティーが確保されているホームページでは,例えばインターネットエクスプローラでは,画面最下部右側に鍵(錠前)のマークが表示されます。個人情報を入力されている画面でこの鍵マークが表示されている場合は,セキュリティーについてある程度は安心しても良いと思います。

 カードを利用する上でのもう1つの注意点は,カード番号など個人情報を伝えるショップが信用できるか,ということです。ショップ側が入手したカード情報を悪用する可能性があるのです。これはどんなにセキュリティーが確保されていても効果がありません。ショップ側の悪用という点では,一般的な通販や,実際に存在する店でも同じようにリスクが存在します。しかし何度も書いているように,ネット上には信用度が低いショップが存在します。より注意が必要なのです。

 いずれにしても,ホームページ上でむやみに個人情報を入力するのは危険です。

3.商品受け取り方法

 多くの商品は宅配便や郵便で届けられます。そのとき外出していると受け取ることができません。時間を指定して再度配達してもらうか,取りに行く必要があります。これについては普通の通販でも同じです。

 この商品受け取り方法に関して,最近新しい動きがあります。近くのコンビニエンスストアで受け取ることができるようになってきます。これは便利です。一人暮らしの人や,昼間家族全員が外出しがちな人には特に便利です。さらに,コンビニで受け取るときに商品の代金をコンビニで払うことができるようになります。この方法だと支払いに関するリスクもありません。

 多くの企業がこのコンビニ受取コンビニ決済という事業を開始しそうです。これが一般的になると利用者としては本当に便利です。それだけではありません。自分が店を出すことも簡単になるのです。店を出すときに大変なのは代金の受取です。全く信用がない個人や小さな店がネット上に店を出す場合,先払いにすることは難しいでしょう。しかし後払いだと代金が回収できない可能性がある。そんなときこのコンビニ決済が便利なのです。企業側もこのような小さなショップの利用を考えているようで,比較的安い手数料でサービスを行おうとしているようです。


 アメリカでは,去年のクリスマス時期に「e-クリスマス(イークリスマス)」という言葉がはやりました。アメリカでは毎年クリスマス時期に恐ろしいほどたくさんの消費があります。この時期のために1年間働いているというくらい多くの買い物をします。この消費,去年はかなりのものがネットを使って行われたのです。「e-クリスマス」の「e」は「e-メール」の「e」です。去年のクリスマスはネット通販の増大が特徴だったのでそのように呼ばれているのです。

 もともと通販が盛んだったアメリカとは状況が違うかも知れませんが,個人的には今後コンビニ決済やインターネット接続料金の低下などいろんな環境も整い,ますますネット通販が拡大していくのではないかと思います。


 ところで,ここまで読んでくると,「ショップの信頼度」が非常に重要であることが分かると思います。インターネット上には様々な情報が流れています。インターネットを利用するには,いろんな意味でそれらの情報の信頼性を自分で判断するということが重要になってきます。

 常に自分で情報の信頼性を判断しながら,自分の責任で,そして積極的にインターネットを使っていきましょう。

Written by 大坪 和久


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